セルフケア支援

セルフケア支援

過敏性腸症候群のセルフケア支援
過敏性腸症候群(IBS)は、検査で明らかな炎症や腫瘍などが見つからないにもかかわらず、腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘、便通異常などが慢性的に続く機能性消化管疾患です。腸の動き、腸の知覚過敏、ストレス、自律神経、腸内細菌叢、食生活などが関係すると考えられています。日本消化器病学会の診療ガイドラインでも、IBSは生活の質に影響する疾患として整理されています。 治療の基本は、まず症状のタイプに合わせて生活を整えることです。食事は、1日3食をできるだけ規則正しくとり、早食いを避け、よく噛んで食べることが大切です。欠食や長時間の空腹は腸のリズムを乱すことがあります。水分は水やカフェインの少ない飲み物を中心にとり、コーヒー、アルコール、炭酸飲料、脂っこい食事、香辛料の多い食事は、症状を悪化させる場合があるため、自分の体調に合わせて調整します。 便秘が強い場合は、オートミール、果物、野菜、海藻類などを少しずつ取り入れ、特に水溶性食物繊維を意識するとよいとされています。一方で、不溶性食物繊維を急に増やすと、お腹の張りやガスが強くなることがあります。IBSでは、症状によっては医師や管理栄養士の指導のもとで、発酵しやすい糖質を調整する低FODMAP食を一定期間試すこともあります。 下痢が強い場合は、冷たい飲み物、脂質の多い食事、アルコール、カフェイン、刺激物を控えめにし、外出前の食事内容や時間を調整することが役立つ場合があります。また、便秘・下痢のどちらにも共通して、症状日誌をつけることが有用です。食べたもの、腹痛、便の状態、睡眠、ストレス、月経周期などを記録すると、自分に合わない食品や悪化しやすい生活パターンを見つけやすくなります。 セルフケアでは、ストレスをためない工夫も重要です。IBSは脳と腸の相互作用、いわゆる脳腸相関の影響を受けるため、緊張、不安、睡眠不足、疲労で症状が強くなることがあります。深呼吸、入浴、軽いストレッチ、散歩、ヨガ、趣味の時間などを生活に取り入れ、心身を休める時間を確保します。適度な運動は腸の動きを整え、気分転換にもつながります。 薬物療法では、腹痛やけいれんに対する薬、便秘を改善する薬、下痢を抑える薬、腸内環境を整える薬などが症状に応じて使われます。市販薬で対応できる場合もありますが、症状が長く続く場合や生活に支障がある場合は、自己判断で薬を続けず、医療機関で相談することが大切です。 ただし、血便、体重減少、発熱、貧血、夜間に目が覚めるほどの下痢、強い腹痛、繰り返す嘔吐がある場合は、IBS以外の病気が隠れている可能性があります。このような症状があるときは、早めに消化器内科を受診してください。IBSのセルフケアは、「無理に完璧な生活を目指す」のではなく、食事・睡眠・運動・ストレス対処を少しずつ整え、自分の症状の傾向を知ることが基本です。
 
 

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